今回は『キャリアマ・ネジメント』についてお話しします。
『キャリア・マネジメント』という言葉以外にも、『キャリア・プラン』『キャリア・デザイン』など、似たような言葉があります。私はどれも等しく「自身のキャリアを主体的に選んでいくこと」を表す言葉として捉えています。
ですので、ここでは、3つの言葉を同意語として扱っています。
つまり、キャリアをマネジメントすること、デザインすることは、『限られた自分の人生の「時間」の使い方を主体的に考えていくこと』だと、私は定義しています。
キャリア・マネジメントとは
キャリア・マネジメントは、「あなたが辿り着きたい未来」を積極的に選択していくことをサポートしてくれる考え方です。
キャリア・マネジメントは、必ずしも必要ではありませんが、自分の価値観をもとに「自分が望む生き方・働き方をしたい」人にとっては、役立つ考え方です。
1日は誰にとっても平等に24時間で構成されています。そのうちの3分の1は寝ている時間なので、残りの3分の2の時間をどう過ごすかで、その人の人生が決まります。
逆に考えると、現代に生きる私たちは、ある程度自分の人生を、自分自身で選ぶことができるということです。
毎日をただ単に過ごすのではなく、自分に与えられた「人生の時間」の使い方を考え、主体的に選んでいくことで、自分が望む生き方をある程度、実現することが可能になります。
キャリア・マネジメントは、自分の人生において納得のいく生き方を主体的に選び取っていく作業ですので、1回やって終わりではなく、生涯にわたって行うものでもあります。
『現在の自分』は、過去の自分が行ってきた「選択」と「行動」の結果です。もしあなたが “今とは違う新しい自分” になりたいと願うならば、「選択」と「行動」を変える必要があります。
これまでの毎日と異なる選択と行動をすることで、人生は確実に変わります。
キャリア・マネジメントに必要な要素
キャリアマネジメントには、いくつかの大切な要素が含まれます。
まずは「自己理解・評価」が大切です。自分の資質や興味関心、長所や短所を客観的に見極めることで、自分に合ったキャリア選択ができるようになります。そして、キャリアマネジメントにおいては「目標設定」もとても重要です。明確な目標を持つことで、進むべき方向を見つけやすくなります。
また、「キャリアプ・ランニング」も、キャリアマネジメントの一部です。将来のビジョンを持ち、そこに向かって段階的な計画を立てることで、望む未来にたどり着きやすくなります。同時に、望むキャリアを歩んでいくには、「スキルの習得や学び」も大切。現代の職場環境は変化が激しく、新しい技術や知識に対応できる能力が求められるからです。
一方で、キャリア・マネジメントは、望む未来を引き寄せるために役立つ考え方なのですが、必ずしも必要ではありません。経済的な安定を最重要視する人もいますし、現状の職業や組織で充実感を感じる人もいます。
大切なのは、自分で納得できる生き方・働き方、自分が心地よく過ごせる道を見つけることです。
キャリア・マネジメントのメリット
キャリア・マネジメントには、あなたが望む未来へ辿り着きやすくなる、という素晴らしいメリットがあります。
キャリ・アマネジメントに取り組むことで、あなたが描くキャリアビジョンや目標を明確にし、それに向かって具体的な計画を立てることができます。
自分の理想的なキャリアパスを描き、そのために必要なスキルや経験を獲得することで、理想的な未来への道を切り開くことができるのが、キャリア・マネジメントを行うメリットです。
また、キャリア・マネジメントは、自己成長と進歩を促進するプロセスでもあります。自分の強みや興味を見つけ、それにもとづき仕事やプロジェクトを選択することで、より充実したキャリアを築くことができます。自分の能力や達成感を高めることで、自己満足感や自信を育むことができます。
そして、キャリア・マネジメントは、将来の不確実性に備えるための重要な手段でもあります。
経済や産業の変化により、キャリアの道も常に変化しています。キャリア・マネジメントを通じて、自分のスキルや知識をアップデートし、市場の需要に適応することができます。自分のキャリアをコントロールできることで、将来への安心感と柔軟性を得ることができます。
キャリア・マネジメントに取り組むことは、自分自身の可能性を最大限に引き出し、理想の未来を築くための道を開くことです。自分が望む未来へたどり着けるよう、積極的にキャリア・マネジメントを進めていきましょう。
キャリア・マネジメントのフレームワーク
キャリア・マネジメントの一般的な手順は、以下の通りです。
- 自己評価と自己理解:自己分析を通じて、自分の強み、興味、価値観を把握します。自己評価のツールや質問に基づいて、自分自身を客観的に見つめることが重要です。
- 目標設定とビジョンの明確化:自分のキャリア目標や将来のビジョンを明確にします。具体的な目標や時間枠を設定し、自分が望むキャリアパスを描きます。
- スキルの評価と開発:自分のスキルセットを評価し、目標に必要なスキルや知識を特定します。自己評価やフィードバック、アセスメントツールを活用し、スキルの強化や新たなスキルの習得に取り組みます。
- キャリア・プランニング:キャリア目標に基づいて、具体的なアクションプランを策定します。長期的な目標を短期的なステップに分解し、目標達成のための段階的な計画を立てます。
- ネットワーキングと関係構築:業界や専門分野の人々との関係性を築きます。コミュニティへの参加やメンターの探求などを通じて、人脈を広げ、キャリアにおけるチャンスや情報を得ることができます。
- セルフマーケティング:自分の強みや成果を適切にアピールするスキルを磨きます。自己PRの方法やネット上でのプロフェッショナルな存在感の構築に取り組みます。
- モニタリングと評価:定期的に進捗をモニタリングし、キャリア・プランの評価と調整を行います。目標の進行状況や達成度を評価し、必要な修正や方向転換を行うことが重要です。
以上が一般的なキャリア・マネジメントのフレームワークです。
自己理解、目標設定、スキル開発、関係構築、自己マーケティング、モニタリングと評価のステップを順番に進めながら、自身のキャリアを有意義に管理していくことが大切です。
また、キャリア・マネジメントは個人の状況や目標に合わせて柔軟にアレンジできます。自分自身を知り、目標を明確にし、必要なスキルを身につけながら、着実にキャリアを進めていきましょう。
キャリア・マネジメントのプロセスは継続的なものであり、途中で目標や状況が変化することもあります。柔軟に対応し、定期的な振り返りと修正を行うことがマネジメントのポイントです。
従業員の主体的なキャリア形成を支援する企業の制度に「セルフ・キャリアドック」というものがありますが、「人間ドック」で身体の健康状態を定期的に検査するように、自身のキャリアについても、定期的にチェックしてみるとよいですね。
最もシンプルなキャリア・マネジメント法
一般的には上記のような手順で進めるキャリアマ・ネジメントですが、複雑なプロセスは行動意欲を失わせてしまうと思いますので、最後に、私が実際にセッションで行っている、最もシンプルな方法をご紹介します。
プロセスは、たったの3つだけ。
- 1.現状把握
- 2.ゴール設定
- 3.TODOの洗い出し
これだけです。
まずは、現在の「自分のキャリア」について、どのような状態かを書き出します。箇条書きで良いので、業界、職種、立場、業務内容、身についた知識・スキル、将来への不安事項などを書き出します。
次に3年後にどうなっていたいか、なりたい自分の未来を同じく箇条書きで書き出します。
最後に、現在地から、目標値まで、たどり着くために何が必要か、TODOを書き出します。
このように、「現在地」→→→「ゴール」を可視化することで、ゴールに辿り着くために必要なこと、現在の自分に不足していることが見えてきます。これなら、1時間程度のワークで完了するので、手軽にキャリアマネジメントに取り組むことができますよね。
また、ゴール設定は、10年後など、あまりに遠い未来を設定しないことをおすすめしています。
今の時代は変化のスピードが速いため、10年後の未来がどうなっているかは不確かです。3年ほど先をゴールに設定し、年に1度、定期的に進み具合や方向性をチェックしながら、キャリアマネジメントを行っていくと良いと思います。
以上、今回は「キャリアマネジメント」についてご紹介しました。
この記事が、皆さんのキャリア選択のヒントになればうれしいです。